上卷:興奮のるつぼにあるベルヌープ国コロシアム。その中心にいる人物は、剣闘士に相応しくない赤いドレスに身を包んでいた。飢えた狼に対峙する彼女に浴びせられるのは声援ではなく罵声、狼を倒せば倒す程、その度合いは強くなる。 彼女は隣国、バスティアの王女スカーレット。紛争の絶えない両国が和平の手段として王族交換を行った。その為、スカーレットはこの国に来た。両国の和平は保たれ、スカーレットは国賓として扱われていた。 だがベルヌープ側の王子が不慮の死を遂げたことで、事態は一変する。ベルヌープの民意はスカーレット無残な死を求め、国はそれにこたえる形で、スカーレットを剣闘士奴隷の身分へと落とした。戦姫として生まれたスカーレットは優れた戦闘力を発揮してコロシアムの戦いに勝ち続け、生き残っていた。しかし観客がスカーレットの死を望んでいる限り、そう遠くないうちに無残に殺されるだろう。そのことをスカーレットは常に感じていた。ふとしたことから知り合ったグスタフという男が、どんなものでも確実に目的地まで送り届ける優秀な運び屋と知ったスカーレットは、自らの身体を依頼料として、祖国まで自分を送り届けることを頼むのであった。
下卷:鎖で繋がれ身体の自由を奪われたスカーレット。身体を動かすと繋がれた鎖の金属音が無機質な部屋中に響く。国境を超えるため、関所の役人に娼婦として奉仕をしたスカーレット。その後、役人の手によってここに監禁されてしまう。 スカーレットを弄んだ役人が下卑た笑みを浮かべながら近づいてくる。戦姫と呼ばれるほどの強さを持つスカーレットだが、身体の自由を奪われていてはか弱い娘にすぎない。役人は彼女が姫であることを知っていた。ここに連れて来た理由は罪人として引き渡すことではなく、自分好みの性奴隷として調教するためであった。兵士たちの手によって淫靡な道具が持ち込まれる。これから長く淫らな調教がはじまろうとしていた……